触媒の代表格 チーグラー・ナッタ触媒 その成り立ちと特徴、用途とは

チーグラー・ナッタ触媒 化学
チーグラー・ナッタ触媒
この記事は約3分で読めます。

「チーグラー・ナッタ触媒」・・・口に出してみると非常に語感の良い単語ですが

普通に生活していると、あまり馴染みのない単語かと思います。

でも、化学を勉強している人は誰でも知っているような超有名な触媒で

この触媒の発見のおかげで、ポリエチレンやポリプロピレンなどの

プラスチック製品が作られ、現在の私たちの生活を豊かにしてくれています。

チーグラー・ナッタ触媒とは

一言でいうと、オレフィン(炭素-炭素の二重結合)の重合に用いられる画期的な触媒 

ということになります。

その発見の歴史を紐解いてみると、次のようになります。

1953年にドイツのマックス・プランク研究所の チーグラーさん (Ziegler)

四塩化チタン(TiCl4) がエチレンの重合に有効であることを発見しました。

一方、イタリアではミラノ工科大学の ナッタさん(Natta) さんが

チーグラーさんの発見をヒントに研究を進め、

三塩化チタン(TiCl3) がプロピレンの重合に有効であることを発見しています。

※厳密にはそれぞれ有機アルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム)との混合触媒

チーグラーさんの発見は、これまでは高圧が必要だったエチレンの重合を

高い圧力をかけずに (大気圧付近の低圧で) 重合することを可能にしました。

また、ナッタさんの発見は、これまで重合が困難だと言われていた

プロピレンの重合を可能 にしています。

そして、これらの発見をきっかけに

“重合触媒” や “有機金属化学” という化学分野が目覚ましく発展していきます。

これら2人の発見は、普段私たちがよく耳にするポリ○○といった石油化学製品の発展に

大きく貢献しており、今もなお使用され続けている非常に優れた触媒です。

ここまで読んだいただくと、お気づきかと思いますが、

実はチーグラー・ナッタ触媒とはもともと別の物で、

チーグラー触媒とナッタ触媒 この2つをひっくるめてチーグラー・ナッタ触媒と呼ばれています。

なぜひとまとめにされているかは、それぞれの触媒の構造と用途を見ればよくわかります。

チーグラー触媒とナッタ触媒
チーグラー触媒とナッタ触媒

化学式を見ると、これらの触媒は塩素 (Cl)が 一つ多いか、少ないかの違いです。

また、用いられる化合物もエチレンとプロピレンと

炭素が1つ多いか少ないかだけの違いですね。

似たような反応に用いられる似たような触媒なので、一般的にこれらの功績は

チーグラー・ナッタ触媒とひとまとめで語られることが多いのです。

晴れてノーベル賞受賞! でも・・・

ちなみに、2人は1963年に

「新しい触媒を用いた重合法開発と基礎的研究」

を理由として、

ノーベル化学賞を受賞しています。

この2人、面識はあったのですがその後、功績や触媒の権利について

意見の相違があり、仲が悪かった。・・・とここまでが化学界隈では有名な話です。

大抵の研究では、似た分野で似た研究をしている研究者がおり、

どちらが先だとか、誰の功績かなどで揉めるのは、よくあることです。

ただ、一緒にノーベル賞を受賞し、「チーグラー・ナッタ」とセットで紹介されることが多いこれらの触媒の開発者が

実は、仲が悪かったというのは、なんだか少し悲しい気がしますね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました