歯磨き粉でお馴染みの『サンスター(SUNSTAR) GUM』
愛用している方はもちろん、そうでない方もドラッグストアなどで一度は商品を目にしたことがあると思います。
あまり気にしたことがないという方も多いと思いますが、GUMシリーズの商品パッケージには、共通してある化合物が書かれています。
今回は、この気になる化合物についてご紹介します。
謎の化合物の正体は?
この化合物の正体は、日本語で「セチルピリジニウム塩化物 」(英語ではCetylPyridinium Chloride)と呼ばれる物質です。正式名称がやや長めなため、英語名の頭文字を取り、「CPC」と表されることが多い化合物です。
CPCは優れた殺菌作用を持つため、歯磨き粉やトローチ、うがい薬などに含まれており、口の中やのどの粘膜で細菌の増殖を抑える働きをすることが知られています。
サンスターのホームページでも、CPCについて紹介されており、歯磨き粉の開発研究の中で、歯周病の原因となる細菌対して、色々な殺菌剤をコツコツ試して行った結果、CPCが歯周病菌に対して強い殺菌効果を示すことがわかったそうです。
ちなみに、CPCが殺菌性を示すメカニズムとしては、細菌が生きていくために必要なエネルギーを作れないようにする。細菌の細胞膜を破壊するなどが知られています。
その他の用途
CPCは殺菌作用の他にも、抗カビ作用を持つことが知られており、これまでに紹介したオーラルケア、トローチなどの他に、ウェットティッシュ、化粧品、トイレタリー関連や工業用途と幅広い分野で使用されています。
おまけ:セチルとは?
CPCの化学構造を見ると、ピリジン骨格の窒素(N)原子上に、長い炭素鎖(Cが16個)が連なっており、セチル部分はこの長い炭素鎖に由来します。具体的には、炭素原子を16個持つアルコールとして、セチルアルコール(cetyl alcohol)という化合物があり、炭素が16個連なった構造として、セチル(cetyl)が当てられています。
参考
- G・U・M(ガム) オーラルケア サンスター製品情報サイト(https://jp.sunstar.com/oralcare/gum/)
- KEGG DRUG データベース(https://www.genome.jp/kegg/drug/drug_ja.html)
- 富士フイルム 和光純薬株式会社(https://specchem-wako-jp.fujifilm.com/cpc/)
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