化合物名 :コーヒー酸 (caffeic acid) 別名 :カフェ酸、カフェイン酸
IUPAC名 :3,4-ジヒドロキシケイ皮酸 (3,4-dihydroxycinnamic acid)
化学式 :C9H8O4 分子量 :180.16
価格の目安 :5g 3700円 (東京化成)
説明
主にコーヒー豆や果実に含まれるポリフェノールの1種。コーヒーの深い香りのもととなる成分。近年、コーヒー酸にはリラックス効果、ガンの予防効果、動脈硬化の抑制効果などがあることが注目されており、研究が進められている。
コーヒー豆の中にはクロロゲン酸というポリフェノールが含まれているが、焙煎時に熱をかけることでクロロゲン酸からコーヒー酸が分離する。焙煎を減ることでコーヒーの香りが一層際立つのはこのため。
性質
状態 (20℃) | 固体 |
形状 | ごく薄い黄色~薄い黄色 |
溶解性 | 水に微溶 易溶◎ :アルコール 可溶○ :酢酸エチル 難溶× :クロロホルム、ヘキサン |
オクタノール/水分配係数 (※1) | 0.82 |
健康に対する有害性
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
眼に対する重篤な損傷/眼刺激性 | 区分2A |
発がん性 | 区分2 |
環境に対する有害性 | 該当区分なし |
有害性情報 (急性毒性)
ipr-mus LD50 (※2) | >721 mg/kg |
ipr-rat LDL0 (※3) | 1500 mg/kg |
有害性情報 (発がん性)
発がん性 (IARC) (※4) | 2B (人に対して発癌性があるかもしれない) |
参考:東京化成 SDS
用語の補足
※1:オクタノール/水分配係数
物質の疎水性を表す指標。対象となる物質が水に溶けやすいのか、有機溶媒 (n-オクタノールが一般的) に溶けやすいのかを数値的に表現するもの。水と有機溶媒は混ざり合わないため、水と有機溶媒に対象物質を加えると、その物質は一定の比率で水と有機溶媒に溶解する (分配という)。
分配係数 P = (有機溶媒中の濃度)/ (水中の濃度) で表され、値が大きいほど水に溶けにくい、疎水性 (脂溶性) が高いと評価される。
※2:ipr-mus LD50
物質の急性毒性の指標となるもので、動物に投与した場合の結果を示す。
“〇〇ー××” は “投与方法ー投与動物” を表し、ipr-mus = マウスへの腹腔内投与 を意味する。
LD50 (半数致死量) は Lethal Dose 50% の頭文字を取ったもので、投与した動物の半数が死亡する試験物質の量を意味する。LD50の値が小さいほど、急性毒性が高く、一般的にはLD50 = 1500mg/kg以上であれば安全とみなされる。
※3:ipr-rat LDL0
ipr-mus = ラットへの腹腔内投与
LDL0 (最小致死量) は Lowest published Lethal Dose の頭文字を取ったもので、投与した動物の半数が死亡する試験物質の最小量を意味する。LDL0の値が大きいほど安全性が高い。
※4:発がん性 (IARC)
物質の発がん性に関する評価は、いくつかの評価機関が実施しており、IARC (International Agency for Research on Cancer)はWHOの下部組織である「国際がん研究機関」の評価結果であることを示す。
IARCによる発がん性の分類結果は以下のようになる。
区分 | 分類結果 |
1 | ヒト発がん性がある |
2A | おそらくヒト発がん性がある |
2B | ヒト発がん性の可能性がある |
3 | ヒト発がん性については分類するこ とができない |
4 | おそらくヒト発がん性がない |
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