トランペット、ホルン、トロンボーンなど金管楽器を主体とする楽団 (吹奏楽) のことをブラスバンド (brass band) と言いますね。
でもよく考えてみると、「バンド」の意味はわかるけれど、「ブラス」とは何を意味するのでしょうか。
実はこの「ブラス (brass)」は、合金の一種である黄銅 (または真鍮 (しんちゅう))を意味する英語で、この合金は銅 (Cu) と亜鉛 (Zn) を混ぜることで作られています。
黄銅 (真鍮) とは
黄銅 (おうどう)は別名で真鍮 (しんちゅう) とも呼ばれ、 銅 (Cu) と亜鉛 (Zn) からできている合金の一種です。
黄銅は銅に混ぜる亜鉛の割合によってその性質が変化します。中でも最も一般的な黄銅は、銅 65%、亜鉛 35%のものです。
また、銅と亜鉛の比率によって見た目も大きく変化します。つまり、亜鉛量が少ないと赤っぽく、亜鉛量が多いと黄っぽく色が変化していきます。
- (銅 90%、亜鉛 10%) レッドブラス
- (銅 85%、亜鉛 15%) ゴールドブラス
- 七三黄銅(銅 70%、亜鉛 30%) イエローブラス
- 六四黄銅(銅 60%、亜鉛 40%) 黄金色に近い黄色
この時、亜鉛の増加とともに合金の硬度も増しますが、その裏返しとして同時に脆さも増すため、亜鉛比率が45%以上の黄銅は材料として使うことが難しくなってきます。
黄銅の材料としての特徴
金属や合金はその種類によって、電気を通しやすい/通しにくい、熱が伝わりやすい/伝わりにくい、硬い/軟らかい・・・などといった特性が異なります。
黄銅が優れた特徴を示す代表的な性質は次の通りです。
- 電気伝導性:どれくらい電気を通ししやすいか (値が大きいほど)
- 熱伝導性 :熱が伝わりやすい (値が大きいほど)
- 展延性 :叩いたり、伸ばしたりしやすい
- 非磁性 :磁石にくっつかない (厳密な非磁性の意味とは違いますが・・・)
- 加工性 :形状加工、メッキ加工がしやすい
このように黄銅は様々な優れた性質を示す優秀な合金ですが、その価格も比較的安く身のまわりでも色々なところに使用されています。
黄銅はどこに使われているの?
黄銅の用途例として、冒頭にブラスバンドの話をしましたが、金管楽器以外では黄銅はどこに使用されているのでしょうか?
もっとも身近なところでは「5円玉」です。
この記事の前半を思い出してください。銅 70%、亜鉛 30%からできているイエローブラスは、金色に近い色しています。まさに5円玉の原材料です。
また、黄銅の加工しやすさ/錆びにくさを活かした例として「水回り関係の部品」
熱伝導性を活かした例として「自動車のラジエーター」
黄金色に輝く美しい見た目から、アクセサリーにも使用されています。ただし、金と黄銅ではその輝きが異なるそうで、汗や空気による劣化という面でも金に軍配が上がるそうです。
ちなみに金と黄銅では金:19.3 黄銅:8.5と比重が2倍以上も違いますので、その違いは持てばすぐにわかるのだとか・・・。
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