お酒のCMでよく聞くプリン体ってなに?

プリン体とは 身のまわりの科学
プリン体とは
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ビールのCMなんかを観ていると、「プリン体オフ!」 とかって聞くけれど

そもそもプリン体って何なのよ? と思ったことありませんか?

「俺、プリンはあまり好きじゃないし関係ないや!」

なんて言って ビールをガブ飲みしていると、”痛風” や “尿路結石” などの

痛~い病気になるかもしれませんよ。

ここでは、プリン体とは何なのか、プリン体が多いとなぜ悪いのか

また、「プリン体オフ」が商品の売りになる理由について、見ていきたいと思います。

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そもそもプリン体とは

まずは化学の観点から

プリン体とはプリン骨格をもつ塩基の総称で

細胞の核に含まれる核酸の構成要素であるアデニンやグアニンが代表例に挙げられます。

難しいことを書いていますが、簡単に言うと

プリンという化合物に似た化合物たち といったイメージです。

下の図では、青い化学構造の部分 (プリン) が共通しているがわかりますね。

プリン骨格を持つ化合物としては、カフェインも同じプリン体に分類されます

プリン塩基

プリン塩基

プリン体は上の説明のように、細胞内の核酸の構成要素でもあります。

そのため、多くの食品に含まれており、細胞数が多い食品ほど、または細胞分裂が盛んな箇所の食品ほど、プリン体が多くなることが知られています。

一般的に食品100gあたりに200mg以上プリン体が含まれると、プリン体を多く含む食品に分類されます。

【プリン体の多い食品】

  • 煮干し (700mg)
  • レバー (250mg)
  • えび (200mg)
  • タラコ (150mg) など       ※( )内は100g中に含まれるプリン体の目安量

プリン体は食品から摂取する場合以外にも、エネルギー代謝や細胞の新陳代謝によって体内でも発生します。

実は食品から摂取するよりも、代謝によって発生するプリン体の量の方がずっと多いんですよ。

プリン体が多いと何が悪いの?

摂取したり、代謝によって生じたプリン体はどうなるのでしょうか?

通常、プリン体は肝臓で代謝 (分解) された後、最終的に尿酸となって体外に排出されます。

ただし、体内のプリン体量が多いと、代謝によって生じた尿酸の排出が追いつかず、どんどん血中に溜まってしまう事があります。

この状態が「高尿酸血中症」であり、痛風の原因になります。

つまり、排出されずに溜まった尿酸が結晶化し関節に沈着                                              ⇨     関節炎を引き起こす = 痛風 となります。

この他にも、尿酸が腎臓に沈着すると腎臓障害、尿路に沈着すると尿路結石とプリン体の過剰摂取はこのような、いずれも非常に痛い思いをする病気の一因となります。

このような状態にならないよう気をつけるべき点は

  • 食べ過ぎに注意 (特にプリン体の多い食品) : プリン体の摂取を減らす
  • たくさんの水を飲む :溜まった尿酸を排出しやすくする
  • ストレスを減らす  :尿酸値を下げる
  • 適度な運動をする  :尿酸値を下げる

プリン体オフは商品の売りなるのか?

最初の話に戻りますが、「プリン体オフ」ってお酒 (ビール類) のCMでよく耳にしますよね。

だから、なんとなく「ビールにはプリン体がたくさん含まれているんだろうなー」という気がしますよね。

でも実は、ビールをはじめとするお酒には、それほど多くのプリン体は含まれていません。(20mg/100mL程度)

ただし、お酒 (アルコール) は血中の尿酸値を上昇させる性質があるため、

それと相まって、プリン体をカットしたお酒がどんどん開発されているのだと思われます。

おまけ:デザートのプリンとプリン体の関係は?

プリン体のことはわかったけど、大切な疑問が解消されていないって?笑

これまでの説明で薄々感づかれているかと思いますが、

今回のテーマの「プリン体」と「デザートのプリン」は全くの別物です。

というのも、プリン体はプリン (purine) という化合物の仲間たちでしたよね。

一方で、デザートのプリンは英語のpuddingが訛って「プリン」となったもので、プリン体とは全然関係なかったんですねー。

ちなみに、デザートのプリンは牛乳、砂糖、卵から作れていますが、これらの材料はいずれもそれほど多くのプリン体を含んでいません。

したがって、デザートのプリンにはほとんどプリン体が含まれていないということになります。

なんだかちょっぴり残念な気がするような・・・

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