みかんとオレンジの違い 〜含有成分の違いからの比較〜

みかんとオレンジの違い 身のまわりの科学
みかんとオレンジの違い
この記事は約4分で読めます。

突然ですが「みかん」のことを英語で何というかご存知ですか?

orange (オレンジ) ではありませんよ。

正解は tangerine です! あんまり聞き馴染みのない単語ですよね・・・。

(他にもmandarineclementineとも。微妙に違うものを指すようですが、広い意味ではどれも「みかん」)

先日、ふとした時に「tangerine」という単語を目にして、意味を調べたところ

tangerine = みかん だということが分かったのですが、考えてみると、

みかんオレンジの違いって、いざ説明するとなると難しくありませんか?

ということで、今回はみかんオレンジの違いについて、

入っている成分 (化合物) に注目してみていきたいと思います。

スポンサーリンク

みかんとオレンジ

みかんオレンジの基本的な違いついては、他にたくさんのブログ記事等があるので、

ここでは詳しく書きませんが、簡単にまとめると次のような違いがあります。

  • みかん:小さい、皮が薄い (手で剥ける)、果肉に種が含まれない、生食がメイン
  • オレンジ:大きい、皮が厚い (ナイフ等が必要)、果肉に種が含まれる、加工がメイン

そして肝心の成分はというと・・・

温州みかんバレンシアオレンジ
エネルギー [kcal]4639
水分 [g]8789
タンパク質 [g]0.71.0
アミノ酸 [g]0.40.7
食物繊維 [g]1.00.8
カリウム [mg]150140
カルシウム [mg]2121
リン [mg]1524
β-カロテン [μg]18050
β-クリプトキサンチン [μg]1700130
葉酸 [μg]2232
パントテン酸 [mg]0.230.36
ビタミンC [mg]3240
みかんとオレンジの成分比較

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

この表の数値は可食部100gあたりの含有成分量を示していますが、

みかんオレンジ85%以上とほとんどが水分なんですね。

他の成分についても、わずかに違いがあるもののどれも大きな差はないように見えます。

ただ一つだけ、大きく含有量が違うものがありますね。

β-クリプトキサンチン」です。

なんと、みかんにはオレンジ10以上もβ-クリプトキサンチンが含まれています!

β-クリプトキサンチンとは

初めて聞いた方もいるかと思いますが、β-クリプトキサンチンみかんの色の素となる色素のひとつで、体内に取り込まれたβ-クリプトキサンチンはビタミンΑに変換され、体の機能を維持するために働いています。

化学構造は、以下に示す通りβ-カロテンによく似た構造の化合物です。(カロテノイドと呼ばれます)

構造式では端っこにOH (水酸基) がくっついていますが、このOHが無いものがβ-カロテンの構造式になります。    ※ちなみに右端の端っこにもOHをつけると、ゼアキサンチンという化合物になります。

β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチン

また、β-クリプトキサンチンはビタミンΑに変化する以外にも、β-クリプトキサンチンのままで、様々な機能性があることが分かってきており、以下のような様々な領域で研究が進められています。

  • 肝機能
  • 動脈硬化
  • 糖尿病
  • 骨粗しょう症や骨代謝
  • 抗酸化能

みかんだけに含まれる成分:シネフリン

オレンジには含まれておらず、みかんだけに含まれる成分もあります。

それがシネフリンという酸味成分です。

シネフリン

シネフリン

シネフリンには体脂肪を分解し食欲を抑える働きや、気管支を拡張する効果があるため、

喉からくる風邪に効果的なんだそうですよ!

この他にも、みかんに含まれるビタミンCには免疫力を高める効果があることは有名ですね。

『風邪が流行する冬場にみかんを食べて風邪予防というのは決して迷信ではなく、

きちんとした科学的な根拠があるんですね。

おまけ:みかんとオレンジのハーフの品種

清見オレンジ

清見オレンジ

みかんとオレンジをかけ合わせた「清見 (きよみ)」という日本で作られた品種があります。

清見みかんより皮が分厚い、果汁が多い、オレンジの風味がするんだそうです。

さすが、みかんとオレンジのハーフというべきか、特徴もみかんとオレンジの中間くらいなんですね。

ちなみに、β-クリプトキサンチンの量は100gあたり690μgだそうで、これまたみかんオレンジの中間くらいなんだそうですよ。

かけ合わせると両方の中間の性質、遺伝ってすごいですよね。


コメント

タイトルとURLをコピーしました