突然ですが「みかん」のことを英語で何というかご存知ですか?
orange (オレンジ) ではありませんよ。
正解は tangerine です! あんまり聞き馴染みのない単語ですよね・・・。
(他にもmandarine、clementineとも。微妙に違うものを指すようですが、広い意味ではどれも「みかん」)
先日、ふとした時に「tangerine」という単語を目にして、意味を調べたところ
tangerine = みかん だということが分かったのですが、考えてみると、
みかんとオレンジの違いって、いざ説明するとなると難しくありませんか?
ということで、今回はみかんとオレンジの違いについて、
入っている成分 (化合物) に注目してみていきたいと思います。
みかんとオレンジ
みかんとオレンジの基本的な違いついては、他にたくさんのブログ記事等があるので、
ここでは詳しく書きませんが、簡単にまとめると次のような違いがあります。
- みかん:小さい、皮が薄い (手で剥ける)、果肉に種が含まれない、生食がメイン
- オレンジ:大きい、皮が厚い (ナイフ等が必要)、果肉に種が含まれる、加工がメイン
そして肝心の成分はというと・・・
温州みかん | バレンシアオレンジ | |
エネルギー [kcal] | 46 | 39 |
水分 [g] | 87 | 89 |
タンパク質 [g] | 0.7 | 1.0 |
アミノ酸 [g] | 0.4 | 0.7 |
食物繊維 [g] | 1.0 | 0.8 |
カリウム [mg] | 150 | 140 |
カルシウム [mg] | 21 | 21 |
リン [mg] | 15 | 24 |
β-カロテン [μg] | 180 | 50 |
β-クリプトキサンチン [μg] | 1700 | 130 |
葉酸 [μg] | 22 | 32 |
パントテン酸 [mg] | 0.23 | 0.36 |
ビタミンC [mg] | 32 | 40 |
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
この表の数値は可食部100gあたりの含有成分量を示していますが、
みかんもオレンジも85%以上とほとんどが水分なんですね。
他の成分についても、わずかに違いがあるもののどれも大きな差はないように見えます。
ただ一つだけ、大きく含有量が違うものがありますね。
「β-クリプトキサンチン」です。
なんと、みかんにはオレンジの10倍以上もβ-クリプトキサンチンが含まれています!
β-クリプトキサンチンとは
初めて聞いた方もいるかと思いますが、β-クリプトキサンチンはみかんの色の素となる色素のひとつで、体内に取り込まれたβ-クリプトキサンチンはビタミンΑに変換され、体の機能を維持するために働いています。
化学構造は、以下に示す通りβ-カロテンによく似た構造の化合物です。(カロテノイドと呼ばれます)
構造式では端っこにOH (水酸基) がくっついていますが、このOHが無いものがβ-カロテンの構造式になります。 ※ちなみに右端の端っこにもOHをつけると、ゼアキサンチンという化合物になります。
また、β-クリプトキサンチンはビタミンΑに変化する以外にも、β-クリプトキサンチンのままで、様々な機能性があることが分かってきており、以下のような様々な領域で研究が進められています。
- 肝機能
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 骨粗しょう症や骨代謝
- 癌
- 抗酸化能
みかんだけに含まれる成分:シネフリン
オレンジには含まれておらず、みかんだけに含まれる成分もあります。
それがシネフリンという酸味成分です。
シネフリンには体脂肪を分解し食欲を抑える働きや、気管支を拡張する効果があるため、
喉からくる風邪に効果的なんだそうですよ!
この他にも、みかんに含まれるビタミンCには免疫力を高める効果があることは有名ですね。
『風邪が流行する冬場にみかんを食べて風邪予防』というのは決して迷信ではなく、
きちんとした科学的な根拠があるんですね。
おまけ:みかんとオレンジのハーフの品種
みかんとオレンジをかけ合わせた「清見 (きよみ)」という日本で作られた品種があります。
清見はみかんより皮が分厚い、果汁が多い、オレンジの風味がするんだそうです。
さすが、みかんとオレンジのハーフというべきか、特徴もみかんとオレンジの中間くらいなんですね。
ちなみに、β-クリプトキサンチンの量は100gあたり690μgだそうで、これまたみかんとオレンジの中間くらいなんだそうですよ。
かけ合わせると両方の中間の性質、遺伝ってすごいですよね。
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