突然ですが、みなさん うどんは好きですか?
○○製麺など街中にもいくつかのうどん専門店がありますよね。
一方、お家で食べる際には生タイプのうどんを買ってきて茹でる という方が多いのではないでしょうか。
でも、実はうどんってお家でも簡単に作れるんですよ。
用意する材料は 小麦粉、水、塩のみ!
小麦粉に塩水を加えて混ぜると、最初はサラサラした小麦粉がだんだんと
そぼろ状になり、最終的にはプニプニした塊状 へと変化していきます。
このプニプニはうどんのコシのもとになる「グルテン」によるものなんです。
うどんのコシのもと「グルテン」
小麦粉は炭水化物とタンパク質が主な成分です。
タンパク質の中にも色んな種類のものがあるのですが、グルテンに関係するのは グリアジン と グルテニン というタンパク質です。
本来これらは別々のタンパク質なのですが、小麦粉に水を加えると、この2つのタンパク質がくっつくき 「グルテン」が出来上がります。
イメージとしては、水を吸収して網目状に絡み合う感じでしょうか。
グルテンになる前のグリアジン、グルテニンはそれぞれが異なる性質を持っています。
グリアジン:粘着力が強く伸びやすいが、弾力が弱い
グルテニン:弾力が強いが、伸びにくい
それぞれは単独では、うどんのコシには程遠いのですが、これらが合わさり、グルテンとなる事で粘着力、弾力、伸びを兼ね備えた生地となります。
うどん以外にも、小麦を原料として作られるモチモチした食品 (パン、ピザ、パスタなど) にとってグルテンはとても重要な役割を担っています。
ちなみに、うどんやパン作りには「生地を寝かす」という工程がありますが、これは生地から過剰な弾力を取り除き、後の成形をやりやすくするためなんです。
あくまでも概念的な説明ですが、下のようなイメージです。
無理やり引き伸ばされた生地が元の縮んだ状態に戻ろうとする = 練った直後の固い状態
時間を置くことで、生地を伸びた状態に慣れさせる = グルテンの網目が伸びた状態に馴染む
何気ない手順の中にも科学が生きていますね。
小麦粉の種類
これまで小麦粉と一括りに話をしてきましたが、小麦粉にはいくつかの種類があります。
具体的には強力粉、中力粉、薄力粉 で含まれるタンパク質が多い順に強→薄と種類分けされています。
何となく名前から予想がつきますが、強力粉、中力粉、薄力粉の順に粘り気の強い生地が出来上がります。
もちろん料理の種類によって小麦粉を使い分けます。
強力粉でうどんを作ると、ものすごくコシのあるうどんが出来上がるのでしょうか・・・?
やってみた方がいたら教えてくださいね。
おまけ:うどん作りに塩水を使う理由
ここまでの記事で、小麦粉に水を混ぜる事でグルテンができ、弾力と伸びのある生地が作れることがわかりました。
でも、うどんのレシピを調べてみると、小麦粉に混ぜるのは「水」ではなく、塩水 (食塩水) と書いてあります。
では、この塩にはどのような意味があるのでしょうか?
1992年の「調理科学」という雑誌に掲載された横塚章治さん (日清製粉 加工技術課:当時) の論文によると
以下のような効果があるそうです。
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食塩にはグルテンなどのタンパク質を引き締める:より強いグルテンになり、ベタつきにくくなる
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乾燥速度のコントロール:食塩が多いほど麺の乾きがゆっくりになる
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茹で上がり時間のコントロール:食塩が多いほど茹で上がりまでの時間が短くなる
(参考:横塚章治, めんにおける食塩の役割, 調理科学, 25, 47-50 (1992).)
とにかく「百聞は一見にしかず」 お家でも簡単に出来ますから、小麦粉を用意してうどんを作ってみましょう! 小麦粉はもちろん中力粉ですよ。
自由研究なんかで、小麦粉の種類の違いや、寝かせ工程、食塩量等を変えた生地を作って、比較すると面白そうですね。美味しいうどんも食べられて一石二鳥。
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